エメラルドの名前は、フランス語の「esmeraude」に由来します。「esmeraude」は「緑色の宝石」の意味です。
絶世の美女と謳われた女王クレオパトラが魅了され、自分の名前を付したエメラルド鉱山を所有し、自らも好んで身にまとった事でも知られています。
エメラルドはベリルに属する宝石ですが、興味深いのはベリルを構成する微量の金属元素のひとつであるクロム原石や酸素原子と距離や、結晶構造によって色合いが変化し、石の名称が変わってしまうことです。
海水青色だとアクアマリン、ピンク色がモルガナイト、黄色系のものがヘリオドールやゴールデンベリル、無色の物がゴッシュナイトとなってしまいます。
また、同じグリーン色のベリルでも、鉄などの他の原子と結合した場合もエメラルドと呼ばず、グリーンベリルという他の名称の石に分類されます。
硬度は7.5から8と貴石の中でも硬いほうに分類されますが、内包物(インクルージョン)が多いために割れやすく、キズがつきやすい繊細さもあわせ持っています。
このインクルージョンは、クロムなどが結晶時に入り込んだもので、そのため結晶に無理を生じさせるのですが、これがキズの原因となり、もろさの源となります。
しかしながら、同時にクロムはエメラルドを鮮やかなグリーン色に染めるためにはなくてはならない存在であるので、エメラルドの脆さは、美のひきかえに与えられたともいえます。
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